第52回(平成30年度)「やってみなはれ佐治敬三賞」受賞者・ファイナリスト

平成31年2月26日選考委員会を開催し「第52回やってみなはれ佐治敬三賞」を選出いたしました。「やってみなはれ佐治敬三賞」は、これまで主に優れた広告作品、広告表現を軸に審査してまいりましたが、今回よりキャンペーン、ソリューションも含む広義の「広告コミュニケーション」全般を対象とし募集を募りました。その結果昨年を大きく上回る42の個人・グループから応募がありました(昨年は22)。選考委員会では、クリエイティブやプロモーションなど異なる分野の作品を厳正に審査した結果、最後まで競った異なるジャンルの2者はいずれも甲乙付けがたく、今年度はグランプリに加え、準グランプリを選考する事にいたしました。

第52回やってみなはれ佐治敬三賞 グランプリ受賞者

花田 礼 氏

花田 礼(はなだ れい)氏
株式会社電通 関西支社 ソリューションデザイン局 クリエーティブ・プランナー

プロフィール
1991年生まれ/慶應義塾大学法学部卒業/2014年電通入社。
入社後デジタル制作・システム開発の部署を経て、その後クリエーティブ・プランナーに。「話題化・共感獲得」を基盤にしたプランニングを行う。主な担当案件はリポビタンD「ファイト不発」「絵文字CM」、セブンツーセブン化粧品「自社Wikipediaのスクショ新聞広告」など。ドローンフォトグラファーとしても活動し、Instagramではフォロワー1万人を超え、2017年には写真集も発売。
受賞対象作品
  • 大正製薬リポビタンD「リポD の伝統CMを若手が絵文字で簡略化」「ファイト不発」「ケイン・濃スギ」「踊るリポD ボトル」
  • セブンツーセブン化粧品「自社Wikipediaのスクショ新聞広告」
  • ドローンで撮ったら凄い場所を伝える写真集
  • 大正製薬リポビタンD「リポD の伝統CMを若手が絵文字で簡略化」「ファイト不発」「ケイン・濃スギ」「踊るリポD ボトル」
  • セブンツーセブン化粧品「自社Wikipediaのスクショ新聞広告」
  • ドローンで撮ったら凄い場所を伝える写真集
受賞理由

セブンツーセブン化粧品、大正製薬リポビタンD 、ドローン写真集いずれをとっても、ゼロから自主提案に動いて仕事をつくるというアプローチにチャレンジ精神が息づいている。
セブンツーセブン化粧品では、飛び込みの自主提案である事はもちろんのこと、Wikipediaのスクリーンショットを広告すると言うアイディアとその使用許可を取るための努力。リポビタンDでは、今の世代へのブランディングを様々なアイディアでチャレンジした事に加え「ファイト一発」と言う不動の名コピーへのリスペクトを忘れずクライアントを説得するための緻密なアプローチ。またドローン写真家という自分のもうひとつの顔を最大限に活かした出版事業という異事業への挑戦。どの作品にも大きな壁を乗り越えるための、斬新なアイディアや表現手法、そして周りを説得させる実現に結びつける緻密な努力や熱意があり「やってみなはれ精神」をまさに体現していると言える。
花田氏の持つ発想力、情熱と行動力、が大いに評価されて、審査委員満場一致での受賞となりました。

主な受賞歴

OCC新人賞、GATSBY学生CM大賞グランプリ、ゲッティ イメージズ×東京カメラ部フォトコンテスト部門賞、アサヒカメラ×東京カメラ部共催 「日本の47枚」選出

第52回やってみなはれ佐治敬三賞 準グランプリ受賞者

花田 礼 氏

各務 亮(かがみ りょう)氏
株式会社電通 京都ビジネスアクセラレーションセンター 文化事業推進部 プロデューサー

プロフィール
2002年から中国、シンガポール、インドの電通拠点を移り住みながら日系グローバル企業の海外戦略を担当し、2011年 電通京都支社帰任。
京都からグローバル企業の海外戦略を担当しながら、伝統工芸の海外発信プロジェクト「GO ON」、太秦映画村を文化エンタメパークに変身させる「太秦江戸酒場」はじめ各種文化プロジェクトを立上げプロデュース。京都から日本ならではのグローバル価値を生み出すべく、既存商品のマーケティングやブランディングに留まらず、伝統をベースに、まだ世にない商品、サービス、事業のクリエーションに挑戦中。
受賞対象作品
  • 京都の老舗工芸企業6社「GO ON」
  • 東映京都スタジオ「太秦江戸酒場」
  • 内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部「岡崎明治酒場」
  • 京都の老舗工芸企業6社「GO ON」
  • パナソニック「GO ON×Panasonic」
  • 東映京都スタジオ「太秦江戸酒場」
  • 内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部「岡崎明治酒場」
受賞理由

“伝統工芸”“時代劇を中心とした映画産業”“新しい夜の観光地”など、様々な京都の文化や財産に着目し、大きな志もって自ら発想し行動する各務氏のプロデュース能力を高く評価した。
京都の伝統工芸職人をクリエイティブユニットとしてネットワーク化したり、さらにそれをパナソニックの製品に昇華させたり、太秦や岡崎などの観光地活性ために、江戸や明治の文化を体験できる空間をプロデュースするなど、今までの広告の枠をはるかに越えながら、クリエイティブデザインの手法を用いた様々なチャレンジは、やってみなはれ佐治敬三賞としても、新しいジャンルへの挑戦を称えるにふさわしい内容と判断し、準グランプリを贈る事を決定した。

主な受賞歴

カンヌライオンズ Silver、D&AD Yellow Pencil、ADC Gold、One Show Gold、など

第52回やってみなはれ佐治敬三賞 ファイナリスト

  • 青木 大介(電通)
  • 各務 亮(電通)
  • 川口 修(電通西日本神戸)
  • 北 匡史(電通西日本神戸)
  • 小堀 友樹(電通)
  • 佐久間 英彰(博報堂)
  • 佐藤 朝子(電通)
  • 花田 礼(電通)
  • 日座 裕介(DADAN)
  • 茗荷 恭平(電通)
  • 矢野 貴寿(電通)
  • 山口 久尚(博報堂)

第52回やってみなはれ佐治敬三賞 審査講評

江崎 悦朗(江崎グリコ株式会社 代表取締役 専務執行役員)

今年度の「やってみなはれ佐治敬三賞」は、広告コミュニケーション全般を対象にして選出するという、時代に合った進化を遂げて募集したところ、応募作品の質・数ともに高まったことは嬉しい限りです。

ファイナリストに残った方々はいずれも「やってみなはれ」精神を発揮し、高い評価を受けていましたが、今回はグランプリと準グランプリを授賞することになったのも、関西圏におけるクリエイティブ・ソリューションがより広い範囲で機能していることを感じさせてくれました。

この賞に賛同して応募された方、既に受賞された方、あるいは選考委員を務めてくださった方、皆様が知性を磨くために集い、これからも大阪の発展のためにチャレンジされることを願ってやみません。

児島 令子(コピーライター)

リニューアルして審査は、異種格闘技の様相がさらに深くなりました。だけど、メディア及び広告の方法論が多様化するとかしないとかに関係なく。広告が広告のフレームを自ら脱ぎ、世の中のリアルを取り込んでゆくのは、実はいつの時代も広告自身が持つべきベクトルではないでしょうか。いわゆる広告制作者も、新たなコミュニケーション開発者も、同じ俎上で競い合うこの賞において讃えられる仕事というのは、フレームを超えた魅力を持っていることの証しでしょう。

今年は花田さんのリポビタンDのCMのサイン化による人々の共有感のあぶり出しと、それを世に投じるときの伝達フォームに、グランプリにふさわしいやってみなはれ精神を感じました。来年も、応募者の皆さんはライバルが増えたことを恐れずにチャレンジしてくださいね。

安藤 宏冶(株式会社博報堂クリエイティブソリューション局CD)

<普遍性>と<時代性>の両方を兼ね備えたコミュニケーションは、強い。

グランプリの花田さんの「リポビタンD」は、このブランドが伝統的に持ち続ける世界観を、今という時代に見事に翻訳した完璧なアウトプットだった。「ジェネレーションギャップ」という一言にはカタルシスさえ感じるが、このセリフ決定に二週間かけたという。我々も見習うべき粘りの姿勢である。

各務さんの「GO ON×Panasonic」は佐治敬三賞の“リニューアル”を象徴するような作品。家電と京都工芸職人の共創プロダクトは美しく、これも一つのコミュニケーションだという新たな視点を提示してくれた。

佐久間さんの「南都銀行」、小堀さんの「エチケットカッター」など、心動かされる作品が多い一年だった。

鈴木 あき子(サントリーコミュニケーションズ株式会社 宣伝部長)

今回初めて審査会に参加させて頂きました。関西から日本をオモロくしようというエネルギーが応募書類の一通一通から溢れ出ており、選考は困難を極めました。その中でグランプリを受賞した花田礼さんは、リポビタンDの伝統CMを現代風にいじっているように見せかけて、実はその伝統が持っている力への絶大な信頼・リスペクトがあるからこそ成り立っている絶妙の匙加減が秀逸でした。準グランプリの各務亮さんは京都の文化を出発点に日本の良さを発信するスケールの大きなプロデュースをされており、2020年や2025年へのヒントにもなると思います。最終的に賞は逃しましたが、個人的には青木大介さんの「米米米米」に込められたものすごい労力と熱量にも圧倒されました。

「やってみなはれ」の形は多種多様であることに気づかされ、サントリーの一社員として全ての方に御礼申し上げたい気持ちです。

辻中達也(株式会社電通関西支社 マーケティングクリエーティブセンターCD)

今年は、変わってみなはれ!元年ということもあり、内容的にも高いレベルで接戦となりました。私の中で、イチオシにしたい方が、5〜6名おられました。広告領域が拡大する中、進取の精神で、変わってみなはれ!元年を象徴する結果になったと思います。

【グランプリの花田さん】は、
ファイト一発の広告資産を巧妙に活用された実現力。727のWikipedia本部へ飛び込む行動力。自らのドローン写真集の出版を持ち込み、観光地化を目指す企画力。若手ながらもすざましいやってみなはれ!だったと思います。

【準グランプリの各務さん】は、
京都の伝統工芸の継承や、新商品群の開発。太秦江戸酒場から、岡崎明治酒場へと、京都のリアルな伝統文化を体感できるイベントコンテンツをクリエーティブ・デレクションされました。クォリティーの高さ、スケール感の大きさなど、広告領域の拡大と進取の精神に溢れていると思いました。

【ファイナリスト】は、
SNSの拡散でもトップクラスの話題をさらったキンチョー新聞広告の茗荷さん。
シニア層シルバーマーケットへ向けて、シリアスな遺産相続を遺族目線でユニークにシリーズ展開された南都銀行の佐久間さん。
バーチャンリアリティーで、日本の孤食を救うヒューマンな北さん。
お米に漫画を彫刻する技術や、たこやきレイボーのコラボCM、継続的な集客を目指す観光列車のクリエーティブデレクションなど、あの手この手の青木さん。
安定した表現でシリーズが続くジーボの矢野さんは、東洋紡でも新しい顔を見せてくれました。

その他、気になった皆さんは
オバチャーン、生野銀山チーム、AIハチエモンチームと話題作りにチャレンジし続ける日座さんチーム。
主婦目線で、ズボラあるある、ご褒美ングあるあるが絶妙な佐藤さん。
Mr.ラジオCM!ラジオ番組のコンテンツ開発にもチャレンジされた廣瀬さん。
大腸マフラーのスタイリングがとても面白かった、浣腸からここまでジャンプしますか川口さん。
先端技術の授業で、大阪芸大オープンスクールを盛り上げ続ける小堀さん。などなど。

若手でもチャレンジが突き抜ければ!これまでなかった領域からも!いろんな可能性が拡張した、変わってみなはれ!元年!だったと思います。

審査途中から、不整脈で心臓がバッコンバコバコと変なリズムを打ち出しまして、翌日医務室で心電図をとりました。死ぬか

中澤 良直(株式会社アサツーデイ・ケイ 関西ソリューション局クリエイティブ専任局長)

「新しいクリエイティブにチャレンジした人」という方向に、「クリエイティブで新しい仕事をつくった人」という方向も選考会で討議され、今回この二方向で「やってみなはれ!」というこの賞が指し示す意味を決定。時代に即した未来型の賞に生まれ変わった実感があります。花田さんのあくなきチャレンジ力、各務さんの大きな巻き込み力。とても熱量を感じるものでした。おめでとうございます!

人の心を動かす仕事をする人の中でも優秀な人は、審査員の心を動かす自己PRや作品の提出方にも長けているものなのですね。発想の声が聞こえてくるんです。その着眼点やチャレンジがしっかり伝わり、感心したり、悔しがったり。私の過去の審査の中で今回が一番良かったと思います。

「やってみなはれ」に応えて「みとくんなはれ!」という精神。次回も多くのチャレンジが見れますように。自身の励みともしたいです。ありがとうございました。

中島 信也(株式会社東北新社 取締役 専務執行役員 CMディレクター)

「佐治敬三賞」は「ノーベル賞」とは違います。でもいわゆる「CM」もあれば、SNS上の顧客とのコミュニケーション、人々を巻き込んだ実験のウエブ上での発表、イベント開催から街づくりまで、いろんなおもろいチャレンジが集まる場になってきてる、という点で「コミュニケーションにおけるノーベル賞」っちゅうのは言い過ぎかもしれませんけど、そう言われるくらいにはなりたいな、と思います。

とはいえ、です。僕やっぱり「広告」という仕事が大好きです。広告主さんの無茶な要求にがっつり応えて、その結果、世の中に広告効果以上の大きな影響を与えてる、か、与えようとしてる・・・これからそんなベタなチャレンジも、もっともっと集まってほしいと思います。

羽木一成(株式会社大広 大阪アクティベーションデザインビジネスユニットCD)

今回はリニューアルということで、
異種格闘技になることは覚悟していましたが、輪をかけてレベルの高いものが多く審査は悩みました。チャレンジ精神を持ち、本質をついたアイディアでアウトプットまでやり抜くパワーを感じさせてくれる方に、賞を獲って欲しいと審査に望みました。

送り手側の訴求に力を注ぐのではなく、受け手側をいかにざわつかせるか。今回は、そこに力点を求めたものが多く散見され、コミュニケーションの可能性を改めて感じました。グランプリ、準グランプリの両氏の他にも、茗荷氏の手法を選ばないアイディア、青木氏のファンを巻き込むアイディアがとても印象に残っています。
ファイナリストに残った方々は、誰もがグランプリのチャンスがあったのではないでしょうか。

原野守弘(株式会社もり代表/クリエイティブディレクター)

初めて審査しました。大阪地区限定のアワードということでしたが、グランプリと準グランプリ作品は、全国でもトップレベルに評価されるべきものだと感じました。

広告賞のための作品ではなく、クリエイターの365日の努力で選考される。そこがこの賞のユニークなポイントです。そのためには、選考用の応募素材にもう一工夫あってもいいのかな、と思いました。単なる制作物の羅列ではなく。
たとえば、自分の仕事の「広告」を作るつもりで、一本のケーススタディフィルムにまとめてみるとか。特に非伝統的分野で応募される方はそういう工夫も必要だと思います。審査員の多くは伝統的な「広告」分野出身の方々なので、そうした方々の感情を揺さぶる「何か」が求められている気がします。
もちろん「ビデオで盛る」のはナシで!

山崎 隆明(株式会社ワトソン・クリッククリエイティブディレクター)

大正製薬リポビタンDの「ファイト不発」を最初に観た時、正直驚いた。
クライアントによくこの企画を通したな、と。

「ファイト一発」のパロディー企画を作ることは、さほど難しくない。
しかし本家『リポビタンD』で、この企画を実現するには、推進力の強さが必要だ。

どんなにいい企画を思いついても実現しなければ、意味はない。
グランプリの花田礼さんは、若いのに大したものだ。

歴代の受賞作品はこちら

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