第54回(令和2年度)「やってみなはれ佐治敬三賞」受賞者・ファイナリスト

令和3年2月18日に選考委員会を開催し「第54回やってみなはれ佐治敬三賞」を選出いたしました。
今年もたくさんのチャレンジ精神あふれる「やってみなはれ」な作品の応募がありました。
個性あふれるチャレンジ、しっかりと成果を残した作品、安定感のある王道のCM。様々なジャンルからの応募があり、選考委員の皆さんの熱い議論もありましたが、最後は満場一致で選出となりました。

第54回やってみなはれ佐治敬三賞 受賞者

小堀 友樹 氏

小堀 友樹(こぼり ともき)氏
株式会社電通 関西支社 クリエーティブ・デザイン局
プランナー コピーライター

プロフィール
大学で彫刻を勉強したのち広告業界へ。動画に限らずゲーム開発やWeb記事制作なども手掛ける。媒体を限定せず新しい体験を作ることを目標にがんばっている。
受賞対象作品
  • 宇治市「宇治市〜宇治茶と源氏物語のまち〜」(ゲーム開発活用の広告コンテンツ)
  • 田辺三菱製薬「おいでよ!田辺三菱製薬」(WEBムービー)
  • 滋賀県「ニュートンに学ぶ、これからの滋賀ノーマル」(WEBムービー)
  • 大日本除虫菊「水性おじさんTVCM & Web動画」(テレビCM、WEBムービー)
  • 宇治市「宇治市〜宇治茶と源氏物語のまち〜」(ゲーム開発活用の広告コンテンツ)
  • 上田安子服飾専門学校「概念のない下谷さんシリーズ」(ラジオCM)
  • 田辺三菱製薬「おいでよ!田辺三菱製薬」(WEBムービー)
  • 滋賀県「ニュートンに学ぶ、これからの滋賀ノーマル」(WEBムービー)
  • 大日本除虫菊「水性おじさんTVCM & Web動画」(テレビCM、WEBムービー)
受賞理由

応募作全てに作品の視点・広がり・深さのセンスが際立っていた。「宇治市」は、今どきを手段としたゲーム制作からクラウドファンディングまでオリジナリティ溢れる発案で、広告展開がリアルな現地を訪れて初めてクリア(完結)するという広告主が切望する着地点までも見事に企画し、表現された点に高評価が集まった。「田辺三菱製薬」はイメージされる社風とは真逆の表現やアプローチがクライアントを納得させるパワーを感じた。「滋賀県」は県民に向けた新しい価値観や前向きな提案が好評価。「大日本除虫菊」は長年の課題であった製品特性の訴求課題を解決した。
いずれも、従来のクリエイティブの枠を超えたチャレンジと既視感のない発想に、「やってみなはれ」の精神を体現している。さらにいい意味での大阪らしいあほらしさも感じられ、選考委員の高い評価を受け、満場一致での受賞となりました。

主な受賞歴

・ACC賞 テレビ部門 ゴールド / Web部門 シルバー / ラジオ部門 ブロンズ
・FCC賞 審査員特別賞(藤本宗将賞)
・TCC賞
・OCC賞
・メディア芸術祭 審査委員会推薦作品
・アドフェスト ブロンズ、カンヌライオンズファイナリストなど

第54回やってみなはれ佐治敬三賞 ファイナリスト

  • 赤松 卓太(博報堂)
  • 細田 佳宏(タイガータイガークリエイティブ)
  • 矢野 貴寿(電通)
  • 佐藤 朝子(電通)
  • 小堀 友樹(電通)
  • 廣瀬 泰三(電通)
  • 竹内 堅二(博報堂)
  • 「#イマデキ」実行委員会

第54回やってみなはれ佐治敬三賞 審査講評

選考委員長
世耕 石弘(学校法人 近畿大学 経営戦略本部 本部長)

今期より選考委員長を務めさせて頂くことになりましたが、コロナ禍により委員が一堂に会することが一度もできない異例の選考となりました。応募作品はいずれも本賞の趣旨である「広告文化の新しい時代を切り拓くチャレンジ精神あふれる作品を制作したクリエイターを顕彰」に相応しいものばかりであり、特にコロナ禍におけるクリエイティブのあり方について深く考えさせられる作品が多く、遠隔での選考会ではありましたが、白熱した議論が交わされました。全ての作品において、萎縮した人の気持ちを解き放つ力が大阪・関西在住のクリエイターにはあるということを強く感じました。この賞を通して、そうしたクリエイターたちの更なる成長、チャレンジに寄与できればと思います。そして、「新しい生活様式の時代」に「新しい広告様式」をこの大阪・関西在住の彼らが導いてくれると信じております。

副委員長
児島 令子(コピーライター)

ここ数年広告界では、社会課題のソリューション的広告が存在感を増してます。
SDGsはじめテーマにはことかかない。こういうソーシャルグッドな広告と
「やってみなはれ精神」って一見相性よさそう。
だけどやり方によっては、どこか優等生ぽく正しさの訴求大会になりがち。
いや、そうなったらもう、やってみなはれじゃないだろうと個人的には思ってしまう。

審査で上位になった応募作たちは、どれも熱量があり人間臭さがあり、
個人的やってみなはれ魂を存分に放出してる。
そしてそこには何かしらのソリューションが隠れてる。
正しいことを真正面から提案されるより、
「こっちこっち、こっちに行きたいの!」を魅力的に示されれば人はついて行きたくなる。

小堀さんの田辺三菱製薬や滋賀県のどこから玉が飛んできたの感、
赤松さんの奈良大学仏像のそこ深堀りしますか感など、
気持ちをもっていかれつつ課題解決を見せてくれる。
他にも主婦の日常をマインドリセットする佐藤さんのグリコ。
#イマデキ実行委員会の、みんなの心のハッシュタグになりうる言葉「イマデキ」など。
関西ならではの普段使いのソリューションが展開され、来年もまた楽しみです!

打田 一成(株式会社博報堂関西支社 クリエイティブ・ソリューション局 CD)

どんな素晴らしいアイデアも、思いつくだけじゃ人を動かせない。その仕事をやり切るために踏ん張り抜く知恵と技術と忍耐力、なによりそれらを支える熱量を備えた人が、世の中を動かしていく。きびしい年でしたが、熱量を感じさせる仕事が集まったと思います。
小堀さんの宇治市ゲーム。ゲームとしての面白さに飽き足らず、宇治市に行かないとラスボスが倒せないという仕様や、ゲーム出演権を見返りにクラウドファンデイングで製作費を稼ぐ仕掛けなど、一つの仕事の可能性を追求する貪欲さが印象的でした。ラジオCM「概念のない下谷さん」は、大好きな作品。コピーはもちろんのこと、ジングルの作り方が冴えていました。受賞おめでとうございます。
赤松さんのポッキーKO、素晴らしかった。ポッキーと体力ゲージが似ているという大発見からの一点突破、やりきる力で言語を超えたグローバルなキャンペーンを成功させました。思いつきで終わらせない展開力、粘り腰に驚かされました。熱量と計算力のバランスが絶妙な仕事だと感じました。
矢野さんの仕事群にもグッと来ました。大和ハウスや山善のCM表現の面白さ・巧みさに加えて、ボンドや牛乳石鹸で見せたチャーミングなメッセージの届け方。トラディショナルな「広告クリエイティブ」というジャンルに絞れば、個人的にいちばん力を感じたクリエイターでした。
竹内さん、佐藤さんも、去年に続き印象に残りました。継続的に個人の活躍を追えるという点も、この賞の審査の魅力です。お二人とも実力は十分、今後の仕事にとても期待しています。

岡 ゆかり(サントリーコミュニケーションズ株式会社 宣伝部クリエイティブG課長)

今回2度目の審査となりますが、今年も新鮮な目で楽しく審査させていただきました。
審査をして改めて感じるのは、大阪の方は本当に大阪を愛しているんだなということです。自分たちの独自の文化や生き方、大阪らしさを楽しみ、誇りを持っているなと。
そして底辺に流れている『大衆性』です。私も先輩方から「サントリーの商品は毎日楽しんでいただくためのものだから、身近さや親しみを持っていただくことが大事。
そのためには『大衆性』を忘れないように」と常々言われてきました。まさに大阪ならではの人間愛に繋がる非常に大切な姿勢なのだと感じました。
この『やってみなはれ佐治敬三賞』は、そのような大阪ならではの人間愛に溢れたチャーミングな表現にプラスして、チャレンジ精神があるかという視点で審査が進みました。
グランプリを受章されたの小堀さんの作品は、既視感のない独特のアプローチ、奇抜な発想力といった、まさにやんちゃなやってみなはれを実現されていたと思います。
おめでとうございます!
私は、今回最終4名の方を候補として選出しました。非常に悩んだのですが、イチオシは佐藤朝子さん。
どのクリエイティブも、生活者、ユーザー視点で商品を捉えなおし、お客さまに寄り添った楽しくチャーミングな表現で、目線の優しさとプロの表現者としてのクオリティと安定感に一票!クライアントとの強い信頼関係も感じます。これからも大阪の広告業界を牽引され、ご活躍されることを心からお祈りいたします。
他にも、自分の可能性を信じてアイデアをひねり出し、積極果敢な姿勢を感じた矢野さん。
Pocky K.O.やBuddienceなど、デジタルの世界でユーザーとのエンゲージメントを産み出す新たな仕掛けを考え出された赤松さん。
そして、関西から日本を元気に。今できることを業界全体で取り組んだ「#イマデキ」実行委員会の皆さん。
コロナ禍で傷ついた人々に寄り添う姿勢、特にエネルギーを持て余し、希望を失った若者たちの気持ちを外に吐き出す場を設定したことなど、素晴らしい施策だったと思います。
人と人が繋がり、みんなで助け合い生きていこうという、まさに大阪の人間愛を感じる施策で、ココロが温かくなりました。
困難な状況が続きますが、これからも「やってみなはれ」精神で、今こそ関西から、大阪から元気を届けてくださいますように。
皆さまの益々のご活躍を楽しみにしております。

喜多 真二(株式会社大広WEDO 大阪クリエイティブ力Division CD)

今回も多くの方の「やってみなはれ」を審査させていただき、コロナ禍の中で元気をいただきました。コミュニケーションのカタチがフィールドを広げ、ゲームやeスポーツ、アカデミックな世界、もちろんSNSにもと、どんどん拡張している中で、小堀さんが「やってみなはれ佐治敬三賞」に選出されました。
仕事を通じて、小堀さんの個性をも身近に感じてしまうような稀有な表現たち。
こだわりを持って粘り強く、コミュニケーションに挑戦されている姿がとても良く伝わってきました。
惜しくも受賞を逃された方々にもそれぞれの「やってみなはれ」が存在していて
一人の方を選出するのは、とても難しい審査でしたが、同時に、広告のこれからを考えた時に、こんなにも優れた力が芽生えてきているんだ。と実感できた審査会でした。
ご応募いただいたみなさま。素晴らしい「やってみなはれ」をありがとうございました。

佐藤 尚之(コミュニケーション・ディレクター)

コロナ禍で広告出稿が減り、世の中の空気としても元気でやんちゃな広告が出しにくい中での広告賞審査ということで、「みんなそれぞれにいろんな苦労があったんだろうなぁ」と、ひとつひとつの広告の背景に想いを馳せながら審査をした。
ボク個人としては、そのような逆境と閉塞感の中で「まだまだ広告/コミュニケーションがやれることは山ほどある」と思わせてくれる作品を意識して選んだ。
そういう意味で、赤松さんを推した。
出品作はどれも創意とチャレンジと「やってみなはれ」があり素晴らしい。違う領域・業界の中でやりきった実行力も評価したい。eSports、Spotify、Vtuber 、教育の現場(仏像×AI)と、それぞれにトライが感じられ、まだまだやれることは山ほどある、と実感させてくれるものだった。特にポッキーは(海外向けということではあったが)、この伝統あるお菓子のアップデートにもなっていたし、「伝えたい相手」にしっかり届くアプローチだったと思う。
今回受賞は叶わなかったが、赤松さんは広告という領域にとどまらず、次々あたらしい「突破」を仕掛けて欲しいと思う。
他には「TANTEKI」を評価した。スタートアップはいわば命がけだ。そして日本の今後の活力のためにもっともっと出てきて欲しいものでもある。そういう中において、広告クリエイティブの力でそれをサポートし世の中に広く伝える、という取り組みは、広告業界が社会貢献として出来ることであり、やるべきことでもある。また、将来のクライアントを育てる意味でも意味がある中長期的な取り組みだろう(これが中長期的に続くのであれば)。
表現がよく見えないことと応募シートの説明も不足していたので受賞は難しいとは思ったが、取り組みとしては閉塞感漂う日本社会的に「やってみなはれ」であり、もっと評価していいものだったと思う。応援したい。
受賞した小堀さんの個性はすばらしいと思う。
クリエイターとして応援したい人ではあるが、ボクは上記理由をもって、今回は表現方向よりも領域開拓方向という観点から、赤松さん推しであった。

中島 信也(株式会社東北新社 取締役社長 CMディレクター)

広告というのは販売促進や集客といった「お客様を何らかの行動にいざなう」というのが最終目的地です。でもそのほかに「お客様と広告主さんのコミュニケーションをつくる」という大事な目的もあります。そのためには広告が見てくれる人、聞いてくれる人の心を動かさないことには始まりません。

心を動かすもの、それは「かっこええ!」「おしゃれやん!」「新しいのう!」「笑える笑える!」「綺麗やなあ!」「じわるわ!」「びっくり!」・・・つまりなんらかの「面白さ」を提供することが大事なのでは、と僕は考えています。
「やってみなはれ佐治敬三賞」はそんな「面白さ」を提供してくれるエネルギーに満ちたクリエイターを発掘する場なのではないでしょうか?高い広告効果を上げたキャンペーンを構築した人を褒めるアワードではなく、人をめちゃめちゃ面白がらせようとしてる人を褒めるアワードなのではないでしょうか?
そんな佐治敬三賞に、2020年といういろいろあった年にもかかわらず「面白がらしたるでぇ!」と鼻息の荒いクリエイターがよーけ応募してきました。

見事佐治敬三賞に輝いた小堀友樹さんはそんな「面白がらしたる」エネルギーを「独特のセンス」で繰り出してきました。「センス」というとちょっと古典な言葉に聞こえますが、コミュニケーションを作る上で物凄く大きな要素となる「想像力」と深く関わってます。「これは面白がってもらえる」「これは嫌われる」広告を見る人、聞く人の心を深く洞察する力です。素晴らしい。
僅差で賞を逃した赤松卓太さん。「面白がらしたる」エネルギーが今様なテクノをまとって溢れ出ています。これまでのCMプランナーやコピーライターの作法と一線を画したスタンスでコロナ禍中のおうちにいる人々と広告主とを今様に結びつけてくれます。素晴らしい。
今年も実力をまざまざと見せつけてくれた佐藤朝子さん。生活者たちをリアルな共感でえぐって「面白がらしたる」強打者です。多彩に繰り出す「面白がらせ」作品群、質、ボリュームともに全然コロナに負けてません。素晴らしい。
素晴らしい素晴らしい。賞にもれた面々からも広告の面白さ、コミュニケーションの豊かさがガツンと伝わり「面白がらしたる」エネルギーが強烈に発出され、心に元気をいただきました。広告はコロナに負けてない。大阪の元気は健在です。作り手として、もっともっと頑張られる!という勇気を頂戴した審査でした。ありがとうございました。

原野 守弘(株式会社もり 代表/クリエイティブディレクター)

最終的には小堀さんに投票したが、佐藤さんを強く推していた。ここ数年の応募作品を併せて見たが、受賞に値する実績を十分に積まれていると感じた。本年の作品がもう一つという声が多かったが、アーモンドピーク「EASY★GOHOBING」は、卓越していると感じた。映画「ソフルフル・ワールド」にみられるような「そのままでいいんだ」という現状そのまま肯定のメッセージは、大きな時代の価値観の転換をリードしていると感じるし、ターゲットの心を捉えている。師の杉山恒太郎さんは、「意味に対する企てがないものは、広告とは言えない」とよくおっしゃっていた。「がんばったらからご褒美がある」のではなく、日々生きていくことの中に「ち〜さな達成」を見出すという提案、それに対する「EASY★GOHOBING」として「アーモンドピーク」という商品がある、という設計には、その「企て」を感じる。見事。

古川 雅之(株式会社電通関西支社 クリエーティブ・デザイン局GCD)

 うわー、これどうすんの?一次審査の投票を開けると、上位5人が同票&僅差でびちーっと並んでいた。最後は、赤松氏と小堀氏の一騎打ち。出自もアウトプットもずいぶん異なるふたりを比べるのは難儀であった。赤松氏のテクノロジー発のアイデアは、すべて「今っぽさ」を見事に纏っていた。実現力もある。紛糾の末、僕は小堀氏を推した。「ふつうのことはしないぞ」という思いが、幅広い作品群のどれからも匂い立ち、個性となっていた。発想の入り口が狭く、幼稚で、あほらしくとぼけた今っぽさもある。つまりクライアントがなかなかOKしてくれなさそうな自分発のアイデアを、なぜかしなやかに着地させている。おめでとう。
 僅差だった佐藤氏と矢野氏。両氏とも実力十分、幅十分、チャレンジ精神がある。「ほんだらなんでくれへんねん」と言うと思うけど、なんでだろうか。審査員が毎年口を揃えて褒めるおふたり。クオリティも高い。安定感がある。「ほんだらなんでくれへんねん」。ほんまやね。若手の今どきの、もしくは荒削りな「やってみなはれ」に対する時、ベテラン域の「安定感」は武器になりにくいのかもしれない。のかな?とか、しどろもどろな仮説。ここはひとつ、仕事の数(幅)(安定感)でのプレゼンよりも、有無を言わせない一発がないか。会心の一本があれば、確実に決まる。どないや!と、頭をゴチーンといってほしい。やってみなはってほしい。細田氏は保安協会一点突破で善戦した。また快作を生み出してほしい。

村山 貴浩(株式会社ADKクリエイティブ・ワン エリアビジネス局 関西クリエイティブグループ長)

個人的にはコロナ禍と向きあったチャレンジに重きを置きましたが、3年分の作品ということもあり、審査では、時代を変えていく新しい表現の風を感じる人に焦点が当たりました。受賞された小堀さんは、ゲームのラスボスは宇治に行かないと倒せないアイデアが秀逸。さらに、構成の既視感を破りながら見事に新しい定着をみせた田辺三菱製薬や上田安子服飾専門学校、度を超えたニューノーマルの創造で前向く滋賀県、水しぶき職人で一点突破するキンチョーのCMなど、すべての作品において目の付け所が違っていて、今までにいないアイデアの持ち主の誕生を感じました。拮抗していた赤松さんは、PockyK.Oでのデータや数値をクリエイティブに転換する目の付け所と、それをつくりきってしまうタフ&チャレンジブルな実行力にひれ伏すほど感心しました。矢野さんは、山善をはじめ野心あふれる個性的なエネルギーに加えて、今年はコロナ禍をまっすぐみつめた牛乳石鹸や家事妖怪での芯の太いチャレンジに驚嘆しました。細田さんは、既視感から新しくするにはこうしたらいいというお手本のような関西電気保安協会の表現に脱帽。佐藤さんは、とにかくコトバのセンスが抜群。EASY☆GOHOBINGは1回みただけでずっと記憶に残ってしまう破壊力がありました。廣瀬さんは、どれも完成度が高くて、広告づくりの先生のような存在。デオウの「パパの枕ええ匂い」は好きでした。
今年の作品はどれもレベルが高く、チャレンジの方向が異なるすばらしい人たちに出会えたと思います。受賞された小堀さん、ファイナリストのみなさま、おめでとうございました。

山崎 隆明(株式会社ワトソン・クリック クリエイティブディレクター)

混沌とした世の中でいま、いちばん大切なことは、本質的かどうか。
これに尽きると思っています。
広告も、同様です。
広告屋ができることとできないことの線引きはした方がいい。
無限の可能性を否定してはいけないけど、
広告会社が新規ビジネスを模索するいま、
目的と手段を混同したテクノロジーを駆使した机上の空論的企画書を見たりすると、
そんなアイデアごっこで遊んでいる余裕、いまの広告界にはないのにな、
と思ってしまいます。
『とにかく結果を出す。広告は効くとクライアントに実感してもらう』
生き残る道は、ひとつ。
今回佐治敬三賞を受賞した小堀氏からは、その生き残るための熱量を感じました。
しかも軽やかでアイデアがシンプル。
教科書に載っているような模範的企画ではないけれど、
圧倒的個性で作られた企画にいちばんいまの時代の気分を感じました。
ファイナリストの赤松さんには
閉塞感ある広告の世界に風穴をあける突破力の断片を感じました。
このまま自分の得意ジャンルに仕事を引きずり込んで、突き進んで欲しいと思います。
矢野さんは表現の幅が広いのが魅力。メジャーもできるし、「ギリ、そっちか」も出せる。「ギリ、そっちか」というセリフ、ほんとに好き。
佐藤さんも出品作が幅広く、どんな仕事もこなせる力量を感じました。
突出した1本があれば、相当いいところまでいったと思います。
「#イマデキ委員会」に関しては、実に惜しいと思いました。
イマデキという簡略化したアイコンワードはとてもいいのに、
個々のコピーや表現が淡白で、メッセージの圧をまったく感じなかった。
メッセージに熱量を感じていたら、
今年はイマデキを一推しにしたかもしれません。

歴代の受賞作品はこちら

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