News地域委員会講演会 「V-LOWマルチメディア放送の現状と今後の可能性」≪講演レポート≫

2014地域委員会講演会「V-LOWマルチメディア放送の現状と今後の可能性」
2014年6月17日(火) 15:00~17:00

今回の地域委員会は、「V-LOWマルチメディア放送の現状と今後の可能性」というテーマでご講演を頂きました。

安全安心をはじめBtoBやBtoCサービスにおいて、様々な活用が期待される放送と通信のハイブリッドメディア=V-LOWマルチメディア放送。いよいよ放送スタートに向けて全貌が明らかになってきました。高音質音楽放送やデジタルサイネージ向けデータ配信、自治体による防災情報による受信機の自動起動など最新の情報をお伝えします。

 

講演レポート

15:00~15:15≪挨拶≫

・株式会社 エフエム東京 取締役マルチメディア放送事業本部本部長   藤  勝之 様

15:15~16:00≪V-LOWマルチメディア放送とは?≫

・株式会社 エフエム東京 執行役員マルチメディア放送事業本部副本部長 武内 英人 様

今日はいよいよ来年春からスタートするV-LOWマルチメデイア放送について「どんな放送なのか」「どんなことができるのか」「我々が考えていること」にわけて案内します。

V-LOWマルチメデイア放送は、放送と通信を融合させた新しいキュレーションメデイアと位置づけています。特色としては、高音質、安全安心、無料放送の3つとなります。

V-LOW帯域とは、元のアナログTVの1~3チャンネルの帯域のことをさします。放送法上では移動受信用地上基幹放送と定義され、「自動車その他の陸上を移動するものに設置して使用し、または携帯して使用するための受信設備により受信されることを目的とする基幹放送であって、衛星基幹放送以外にものをいう」とあります。もともとラジオ放送が車(ドライバー聴取)との親和性が高いことに加えてスマホやタブレットなど携帯できるものを通じて視聴するためのメデイアという意味です。

この放送の一番大きな特徴は「送るものに制限がない」ので、音声だけのラジオや音声と映像、データだけのテレビとは違う様々な用途が検討できます。
放送と通信を組み合わせることによってお互いの強みを生かしたサービスができることと それがひとつの端末でシームレスに受信発信可能なことも大きな特徴です。

またV-LOWマルチメデイアの既存のテレビラジオとの違いはハードとソフト事業を分離している点、V-High(NOTTV)との違いは、全国一波からブロック一波になる点と情報格差を生み出さない、契約を必要としない無料放送である点です。

可能性についてですが、いろんな企業に案内しておりましてその数だけコラボレーションの可能性があり、具体化できる、と確信するにいたりました。(ここでは具体的な企業名と活動内容を多数紹介してもらいましたが、紙数の関係上省略させていただきます。事務局)

ハードについては、VIP社が7ブロック、各9セグメント(内6セグメントをJFN38局をベースにしたブロック会社が使用)を利用できるようになります。各ブロックの上にコンテンツプロバイダがあり、ソフトの充実とビジネスの展開を行います。まずはとりわけ車(ドライバー)でのニーズが高いとみてデジタル時代にふさわしい新しい交通情報を発信していきましょうということになっています。
高音質デジタル放送ということについても様々な可能性があります。たとえば、クラシック専門チャンネル、日本初上陸の洋楽専門チャンネルなどですでに多数の反応をいただいております。
また送るものに制限がないのでデジタルチラシやクーポン、デジタルサイネージ向けのデータ放送などBtoBでの新ビジネスの可能性も多数検討しております。

体制ですが、JFN38 局による6ブロックを運営する新たな会社として立ち上げ、総括的なガバナンス会社として持ち株会社BICをおきます。
BIC(持ち株会社)が各ブロック会社に1/3未満の資本注入する予定(※東京は100%)です。資本が集まるかどうかご心配の向きもあったようですが、おかげさまで順調にいっております。
また、大阪のブロック会社では新たに増資にとりかかる時期ですので関心のある企業様や参画希望の企業様は大阪マルチメデイア放送株式会社/エフエム大阪の田辺社長までご連絡ください。エリアの有力企業との連携・ご参画は不可欠と考えております。

スケジュールですが、今年度末くらいに福岡から開始し、東京、大阪も来年春スタートの予定で考えています。5年かけて全国展開していきます。電波管理審議会でハード会社認可、ソフト会社募集・申請・認可を受けて放送開始となりますが、2020年東京オリンピック開催が決まったことで外国人のための多言語ガイドや安心安全対応のための放送整備が急務となってきていることから可及的すみやかに進めてまいる予定です。

防災での利用という点についてですが、昨年大変残念なことに大島で大きな災害は発生しました。この災害について考えてみると深夜で雨戸を閉めていたことや暴風雨の音が大きく、高齢者が多かったことなどから防災無線が聞こえなかったために被害が大きくなったと言われています。防災無線だけでなく光や静止画、アラームなどで電源を切っていても強制起動で警報を出せるなどの活用が自治体においても期待されています。

放送と通信の融合といいますが、放送は大きな情報を広いエリアに同時に発信するこができ、ローコストです。また、通信は1対1の関係です。これをどう融合するかが課題でもあり、おもしろいところです。
たとえば、テレマティクスサービス(通信)においてはドライバーが必要としている地図情報や天気予報、広域交通情報等は個々で大きく違わないので下りでの放送活用がコスト的にも有利です。車中でモバイルメディア(通信)を利用する人が増えていますが、これでは通信が断絶あるいは輻輳を起こした時に緊急時情報が届かない可能性があります。カーナビの中にV-LOWマルチメデイア放送受信機能があれば安心安全がさらに進むはずです。
また、福岡ではこういった高速道路上やPAにおいて緊急情報を一斉放送で届けるという実験をすでに実施済みで成果を確認しております。

この他高音質放送のオリジナルチャンネル、デジタルチラシ配信など通信技術ではなく放送技術を使ったビジネスソリューションに気づいてきた大企業も多くあります。
新聞チラシの有効性を疑問視しなくてはならなくなってきた量販店や車内WIFIの利用頻度が高くなりすぎてかえってサービス低下になってきた交通企業、短尺動画を活用した顧客の需要開拓を進める通販企業などです。

我々放送業界のものにとって通信サービス企業の意見サポートは貴重です。
特に通信サービスで成功されている企業のトップのアドバイスとしていただいた言葉の中に実に興味深いものがありました。
「通信は放送より不安定なところが2つある。通信は技術革新によりパイプを太くして速度を上げても必ずいたちごっこで輻輳が起きる。つまり情報データを送るという点では不安定である。また放送事業者は正しい情報を発信するという責務があるが、通信は掲示板に代表されるようなガセネタも混在している。つまり情報の質「信頼性」という点において不安定であるといえる。」「ただしV-LOWマルチメデイアと掛け合わすとおもしろくなる通信の機能もある。ビッグデータを活用した属性データマーケティング。GPS。決済。センサー技術などである。これが実現すると大変なレボリューションとなる。」

これからも通信と放送のハイブリッドキュレーションメディアとして地域や企業様との連携を確実に前進させてまいりたいと考えております。かさねて我々の活動へのご支援・ご参画を呼びかけてさせていただきます。

 

16:00~17:00
≪自治体とV-LOWが連携!安全安心コミュニティ放送の実現へ~パネルディスカッション≫


・公立大学法人 神戸市外国語大学総合文化 教授 芝 勝徳 様
・株式会社 エフエム東京 マルチメディア放送事業本部副本部長 仁平 成彦 様
・株式会社 エフエム東京 取締役マルチメディア放送事業本部本部長 藤 勝之 様 (モデレーター)

(藤)ここではV-LOWマルチメディアを自治体がどう活用できるのか、について議論したいと思います。まず災害時の自治体による情報伝達の現状について芝先生からお話をうかがいます。

 

(芝)私自身は1995年阪神淡路大震災を神戸市職員の立場で経験しております。そのころは仕事でも個人でもインターネットをメディアとして使い始めたときです。ただ、当時の震災の現場では生まれてから数年のWebというインターネットコンテンツはほぼ被災地や被災者の直接の役にたたなかったと認識しました。およそ20年実際の災害現場でどんな情報伝達が役に立つのか、をずっと考えてきました。現行の防災行政無線にどんな機能が付加できればよいのか、現在のインターネット上の各種の伝達手段やサービスの活用はどうあればよいのか。住民がどんな状態で災害に出会ってしまうのかを考えるとありとあらゆる状況を想定して対応できるものにしておかないといけないでしょう。結局1種類の伝達手段では対応できず、多種類の組み合わせになろうかと思います。自治体の伝達手段は自治体自身による直接広報とメディアに伝達を依頼する間接広報にわけられますが、この両方の性質をもつ可能性にあるのがマルチメディア放送であり、そういう役割を担えるユニークな存在であると考えています。基本は放送であるが、自治体のコンテンツを細かいレベルのものまで任意のタイミングで100%伝達できれば、大変有効なものになるはずです。屋外の防災行政無線を補完するかたちで屋内の「防災ラジオ」型の端末を配布することは決してトータルコスト高にはならないと確信しています。

また、今後の課題としては、広域のブロック放送であることをもっと生かすやり方を検討してほしいと思います。帰宅困難者対応や広域避難など現在地以外の情報が必要になる場合が現実に起こっています。また、臨時災害放送局の機能をソフト面で補完することを引き受けることができないか、大阪でいえばまず府市が協調したうえでどのようにブロック化していくのか、災害情報伝達全体の構想を具体化していくことが急務でしょう。

 

(藤)帰宅困難者や広域避難への対応ができるというキーワードが出ました。また直接広報の手段として期待するということです。芝先生が指摘された自治体の要望にV-LOWマルチメデイアがどのように対応できるのか、仁平さんご説明ください。

 

 

(仁平)自治体の直接広報に放送を利用するということでは、すでにFM放送で行っている都市があります。新潟市はFM新潟と協定を締結し、緊急時にはJ-ALERTなどをトリガーにFM放送に自動割り込みをかけ情報伝達するということをやっています。ただ、デジタル放送であればアナログに利点にプラスしてもっときめ細やかな情報伝達ができるのでは、ということでV-LOWマルチメディア放送を使った災害情報の配信に取り組んでいます。

V-Lowマルチメディア放送ということでは、地方ブロック向け放送のほかに総務省が制度化を掲げているデジタルコミュニティ放送を利用する方法もありますが、実現に2〜3年ほど時間がかかりそうだということです。そこでV-LOW活用をスピードアップするために地方ブロック向け放送で地域コミュニティの情報を流せる仕組みの開発を進めています。この仕組みのもと、V-LOWとFMのどちらも受信が可能な防災ラジオが9月に発売される予定です。(デモンストレーション映像あり 事務局)地方ブロック向け放送は広域放送ですが、データにエリアコードをつけることで特定のエリアの受信機だけを反応させることができます。また、電源が切られていても自動起動することが可能です。また、家のなかだけではなく、屋外に設置されたスピーカーを自動起動させて音声を再生する機器も開発が進んでいます。

市町村と協定や業務委託契約を締結することで自治体がV-Low放送を使って直接広報を行う体制を作ります。これをさらに発展させると屋内、屋外、車の中、人が集まる施設でのデジタルサイネージなどに一斉に配信することができ、信頼性や正確性がぐんとあがります。また、非常災害時だけ割り込むかたちですので平常時は商用放送として楽しんで頂けるわけです。このようなことを総合的に検討するためにV-LOWマルチメデイア放送自治体連絡会を発足し、自治体の方々と日々協議を重ねています。

 

(藤)いまさらこの場で確認するのも妙な話ですが、防災情報しか受信できない専用端末ではなくて日常のラジオ放送番組、音楽なども楽しめるのですね。

 

(仁平)そうです。

 

(藤)直接広報と間接広報の中間にある、という話がありましたが、そのような対応は今の基幹放送でもやろうと思えばできそうにも思いますがいかがでしょうか。

 

(仁平)簡単ではないと思います。CMの途中で緊急情報が割り込んだりするので関係者との細かい調整が必要です。

 

(藤)芝先生にも同様の質問をいたします。

 

(芝)いわゆるマスコミによる災害報道と自治体からの災害情報伝達は分けて考えるべきだと考えています。自治体からのニーズが高いのは後者です。いわゆる報道とは一線を画し、むしろ自治体自身がCPとして情報伝達をしていくかたちをとりたいわけなので、”中間”という位置づけになると思います。

 

(藤)情報の”収集系”、つまり自治体側からの情報提供手段についてはいかがでしょう。

 

(芝)6/5に公共情報コモンズの全国的訓練がありました。外国にも同様の組織があるのですが、国内ではNHKをはじめとした放送局およびネットではヤフーが参加しています。したがって、すでにV-LOWマルチメディア放送へ入力しようとしている基本的な流れは出来ているということです。各ブロックのソフト会社は、公共情報コモンズに接続することでよりスムーズに情報収集していけると思います。

 

(藤)関係官庁からも公共情報コモンズをしっかりV-Lowで位置づけるように、という指示がでている、と聞いています。さて、とりわけ、この地関西地区ではどういう取り組みをしていらっしゃったのか、またはこれからしていこうとお考えなのか、教えていただけませんか。

 

(芝)V-Lowマルチメディア放送を活用した情報配信の構想は何箇所か試験的にすでに取り組んでいます。自治体からのV-Lowマルチメディア放送を活用したいという期待は高いと思います。この地域で言えば大阪市や大阪府を中心に、これまでの実績をどう結びつけるかという段階にあると思います。

 

(仁平)先日も兵庫県の稲美町で東播磨の協議会で説明会を実施し、小学校にスピーカーをたてて試験をしたりしています。すでに予算化をして、開始に向けて準備している自治体もございます。公共情報コモンズをカバーする入力ツールも開発されており、入口から出口までトータルで前進しているという認識です。

 

(芝)逆に藤さんに質問させてください。アナログの放送では、県域放送とコミュニティ放送の関わりがこれまで少なかったように感じておりますが、このマルチメディア放送で両者は連携できることを想定されているでしょうか。ひとつのコンテンツを違う波にのせることはできるのでしょうか。それとも放送局が違うことで難しいことになるのでしょうか。

 

(藤)将来的には自治体ごとに小さい波をだすデジタルコミュニティ放送が実現するのですが、地方ブロック向け放送でも、複数の地域の情報を同時に配信しても受信機が情報を選択できる。これが、V-Lowマルチメディア放送の特色ですから、連携した情報配信をやるのが当然だと理解しています。

 

(仁平)ちなみにジャパンFMネットワークでは災害時にコミュニティFMと情報連携する協定をJCBAと締結しました。このように、非常災害時の連携はアナログ放送でも始まっています。

 

(藤)本日は十分質疑応答の時間をとることができませんでしたので、もしご質問等がありましたら、遠慮なく大阪マルチメデイア放送(エフエム大阪)田辺社長を通じてお問い合わせくださいませ。

 

本日はありがとうございました。

 

(終わり)

2014年6月25日

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