News大阪の新しいランドマーク「あべのハルカス」と新しいまちづくり。地域委員会講演会レポート

地域委員会講演会
「あべのハルカス ~新しい情報発信拠点を目指して~」講演録

 

 7月30日、「あべのハルカス新しい情報発信拠点を目指して」と題して、近畿日本鉄道株式会社 あべのハルカス事業本部 事業本部長 中之坊健介様にご講演を頂きました。180名を超える聴衆に向けて、「あべのハルカス」様のハード面、ソフト面、そのシナジー効果、さらには地域との連携とその活性化、そして、新しい情報発信基地としての取り組みについて、詳しく解り易くご披露頂きました。

 

 

 

*講師*

中之坊健介氏 近畿日本鉄道(株) あべのハルカス事業本部 事業部長

*テーマ*

「あべのハルカス ~新しい情報発信拠点を目指して~」


 平素は、当社ならびに近鉄グループ各社にご愛顧ご支援を賜り、誠にありがとうございます。また、本日は、このような講演の機会を与えて頂き、御礼申し上げます。広告メディアのプロの方々を前にして、新しい情報発信の拠点を目指してなど、大そうなお題を掲げておりますが、しばらくお付き合い頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。
 皆様、「あべのハルカス」について、一度は耳や目に触れられたことがあると思いますが、如何でしょうか。建物も外装が完成し、地上300mの高さまで到達していますので、大阪のいろいろな所から、ご覧頂けるのではないかと思います。また、今年の6月13日には低層階の方に入居致しました「近鉄百貨店あべのハルカス近鉄本店」を先行して開業し、テレビ、新聞等の主要メディアで多く取り上げて頂きました。私はプロジェクトのPRを担当しておりまして、この場をお借りして、御礼申し上げます。
 ということで、関西の皆様には、このプロジェクト、特に、百貨店に関するところについては、ご理解を頂いているのかなと思っていますが、東京をはじめ、日本全国、あるいは、海外に向けてというところでは、まだまだですし、プロジェクトの全貌につきましても、まだ、認知されてないのかなと考えております。
 今日ここで、プロジェクトの経緯から中身までを説明させて頂き、「あべのハルカス」が新しい情報発信拠点となるべく、皆様からお知恵を賜ることができれば誠に幸いでございます。よろしくお願い申し上げます。

 

 当社は、大阪・奈良・京都の関西圏と伊勢志摩、名古屋まで、2府3県を結ぶ500km以上におよぶ鉄道事業を中心に、様々な事業を展開しております。とりわけ、鉄道会社ですので、沿線価値の向上という観点から当社のコアな事業であります鉄道、不動産、流通、ホテルレジャー、この4つの事業の基盤を強化することが最重要課題と考えております。
 今回の「あべのハルカス」は、まさに、その象徴的な事業でございまして、鉄道事業として、当社最大のターミナル駅、大阪阿倍野橋駅において、流通事業の骨格をなす百貨店事業を展開するとともに、不動産事業としての大規模オフィスの導入、そして、ホテル事業としての国際級ホテルの誘致と、この4つのコア事業で、当社グループが持つノウハウを最大限発揮できるプロジェクトを展開し、阿倍野天王寺地区の活性化に寄与したい、そして、2010年に創業100周年を迎えましたが、第二の創業期としての次の100年を支える事業にしたいと考えています。

 プロジェクトのお話をするにあたり、まず、阿倍野・天王寺ターミナルについて、ご説明致します。
 鉄道の乗降客が、1日、約73万人ということで、梅田の230万人、難波の90万人に続き大阪第三のターミナルとなっております。乗降230万人と突出し、5社10路線が集まる梅田から比べると、規模は見劣りするのですが、阿倍野・天王寺も地下鉄御堂筋線をはじめ、JR環状線、当社の南大阪線など4社7路線が乗り入れ、極めて交通利便性が高いエリアでございます。また、関西空港、伊丹空港へは電車、バス等で30分ほどで直結しており、新大阪へも約21分と30分以内で大阪市内の主要な所へ行けるという非常にバランスが取れた立地といえます。特に、関西空港と一番近いターミナルということで、来春の「あべのハルカス」グランドオープン時には、その足元から、関西空港へのリムジンバスを直行させる予定となっておりまして、アジアをはじめ世界に向けた玄関口として、一層機能を強化してまいります。そして更に、その利便性を強くアピールしていきたいと考えております。

 

次に、この計画を実行することになった経緯について、お話したいと思います。

 

 昭和12年に開業しました近鉄百貨店は、当時、大鉄百貨店と言っておりました。この後、4度5 度と増築を重ねております。そしてこれが、その増築後の状況かつ、今回のプロジェクトに取り組む前の近鉄百貨店でございます(写真をもとに説明)。手前の低い部分が、今回、建て替えられてタワーになる前の部分でございます。奥の四角い部分、我々が本館と呼んでいた部分は、6月に「タワー館」が開業するまでずっと営業を続けていた部分でして、現在は、来春のグランドオープン時には「ウイング館」という形で、新装開業させるべく、順次改装しているところでございます。外観は比較的きれいな百貨店に見えますが、旧館につきましては、第二次世界大戦で罹災もしておりまして、築70年を超えて、建物自体、設備等も老朽化が進んでおり、早晩、建替えが必要という状況になっていた建物でございます。
 これも最近、よく出てくる図でありますが、(大阪市内の主要百貨店の分布図をもとに)南では髙島屋さんが増床、北では大丸梅田店さんの増床やJR三越伊勢丹さんの新規開業があり、昨年には阪急百貨店さんが増床オープンしました。また、グランフロント大阪もこの4月にオープンしたという商業の状況がございます。
 我々は、この競争を勝ち抜く新たな魅力づくり、阿倍野・天王寺が埋没しないインパクトのある商業拠点の整備、エリア唯一の百貨店として価値の最大化を実現すべきと判断し、このプロジェクトの計画を進めてまいりました。
 今回この計画推進の重要なファクターとなりましたのが、本計画地が都市再生緊急整備地域として整備されていたということです。梅田大阪駅周辺から中之島御堂筋周辺地域、梅田から淀屋橋にかけての地域、なんば・WTCがあるコスモスクエア周辺地域、そして、この阿倍野地域と、この4つの地域が、大阪における都市再生緊急整備地域に指定されております。この緊急整備地域というのは、その地域の整備方針にそった事業内容、つまりその地域の公共に貢献するような中味を盛り込むことで、計画地の容積率を大幅に緩和してもらえる可能性があるという制度でございまして、それによって土地の高度利用が実現できるわけでございます。阪急百貨店のうめだ本店さんや、先日オープンしたグランフロント大阪も同じような手法をとっておられます。単なる建替えでは、現状規模のままとなってしまいます。何とか容積率をアップしたい、その為には、都市再生の制度が使えると。でも使うと、沢山の公共整備を求められるということでしたが、これはやるしかないと思い定めました。そこで、同じやるなら現状の容積率を可能な限り大きく取りたいと考え、現状の倍の容積率1600%を使い切る事業計画を提案致しました。
 その提案内容は、当然、当社が取り組んでいる事業として、百貨店、ホテル、オフィス、美術館などを入れて、大きなインパクトのあるものにしなければならない。なかでも、展望台については、地上300mの日本一の超高層ビルを目指す中で、導入を決定していきました。着手から半年間で、基本計画をまとめて大阪市に特区制度の活用を提案したということです。
 次に、地上300mという、日本一を目指すことになった経緯を説明致します。
当時の西日本一のWTCや、りんくうゲートタワービルを高さで抜くというのは視野に入れての計画であったのですが、一方で、関西エリアについては、伊丹空港の航空制限が一面にありまして、建物の高さは海抜から、梅田では190m程度、難波で240m程度、阿倍野・天王寺では290mという制限がかかっておりました。しかも、阿倍野は上町台地の上にあり、建物の高さ的には270mくらいが限度となるという現実がございました。
 ところが、丁度この計画を始めていた平成19年の3月頃に、伊丹空港の航空制限が緩和されるという情報が入ってまいりまして、阿倍野地域が、その高さ制限エリアから外れるということがございました。ただ、梅田や難波は依然、航空制限がかかっている状況にあります。そうしますと、これまで高さ296mで日本一であった高層ビルの横浜ランドマークタワーを抜くことも可能ということになりまして、それならばもう少し頑張って、大阪に日本一の超高層ビルを建設し、話題性を高めることが出来るのではないかと計画に拍車がかかりました。展望台は当初から考えていたのですが、これで、俄然やろう!ということになりまして、後に説明いたしますが3層構造を計画することになりました。
 高さの制限は青天井という中で、高さを300mぴったりにしたのは、やはり、切りの良い数字であることと、いずれは、東京で320m、370mという高層ビルが出てくるのではないかとも考え、どこまでも高さを追い求めるのではなく、切りの良い300mにしました。この規制緩和は、まさに神風が吹いているとも感じられ、意を強く致しました。

 

では、「あべのハルカス」について、お話を始めます。

 

 まず、ビルの名称でございますが、この“はるかす”は古語でして、晴れるの“晴れ”に“るかす”と書いて、「晴るかす」という言葉でございます。この言葉は、平安時代に書かれた伊勢物語に出てくるもので、「おぼつかなく思いつめたること少し晴かさん」と使われています。これには、人の心を晴れ晴れとさせるという意味があり、ビルの上層階から、晴れやかな景色が見渡せる、訪れた人に心地よさを感じてもらいたいという思いで名づけました。
 地名についても“あべの”とつけているのですが、“大阪”が良いのではないか、あるいは“天王寺”、はたまた、“上方”とつけようかという、いろいろな意見が出たのですが、やはり、日本一の超高層ビルということにより、知名度を上げていけるのなら、“あべの”を全国区にしたいという意図から、「あべの」に決めました。
 外観デザインに関しては、高層建築で世界的に有名なシーザー・ぺリ氏に監修をお願いしました。シーザー・ぺリ氏は、「台北101」が建設されるまで、世界最高層ビルであったマレーシアの「ペトロナスツインタワー」を設計されたことで有名です。日本においても、マンダリンホテルが入っている「日本橋三井タワー」や、大阪では「国立国際美術館」、「大阪歴史博物館」などを設計し、大阪にとっても非常になじみ深い建築家であります。
 「あべのハルカス」は、建物全体をガラスで包んだ、シンプルかつ洗練されたデザインで、縦のラインを強調しているのがこのデザインの特長です。

 

「あべのハルカス」を構成する施設についてご説明致します。

 

 「あべのハルカス」は、地上60階、地下5階、高さはビルとして日本一の地上300m。延べ床面積約30万6千平方メートルでございます。フロア構成は、低層階から、百貨店、美術館、オフィス、ホテル、展望台で構成しています。このように都市の生活をより豊かにする先進的な施設や機能を、縦に集積した「あべのハルカス」は、文字通り一つの「街」、「立体都市」を形成します。
 まず、プロジェクトの中核施設であります「近鉄百貨店あべのハルカス近鉄本店」につきましては、地下2階から、14階までの16層。改築前の約7万平方メートルの売場面積を、百貨店単店舗としては日本一となる約10万平方メートルに増床致します。大阪東南部、奈良、和歌山等を中心とする約620万人の商圏を抱えた阿倍野・天王寺地域で、唯一の百貨店です。6月13日に「タワー館」部分、約6万平方メートルを先行オープンし、開店初日には約15万人の来場がありまして、現在も1日約10万人という、たいへん多くのお客様にお越し頂いております。現在、「ウイング館」の全面改装を段階的に進めておりまして、この「ウイング館」が完成すると約10万平方メートルになる予定でございます。
 この「あべのハルカス近鉄本店」は、これまでの百貨店と異なり、お買い物目的が無くてもお立ちより頂ける「街」のような場をコンセプトに、直接モノを売らない非物販スペースが全体の4分の1に及び、新たな生活文化を生みだす器にしたいと考えております。
その取り組みの一つとして、店内8ヵ所、700平方メートルのコミュニティースペースを設置しており、このコミュニティースペースをNPO等の市民活動団体の皆様をはじめ、多くの方々に、我々は“縁活”と呼んでいるのですが、学びや趣味を通じて仲間と交流する出会いの場として、ご活用頂きたいと考えております。また、館内には4つの広場のほか、レストスペースを約700席設けて、買い物途中にひと休みして頂く場を提供するなど、いつまでも居続けたい空間を創り出すことで、日本一滞在時間の長い百貨店を目指しております。
 もうすでに開館しているので、皆様も一度お越し頂ければと思っておりますが、具体的には、OLから子育て世代の女性層を対象にした、個性的ブランドを集積したファッションゾーンや、ライフスタイルを提案するリビングフロア、ウイング館では、専門家のアドバイスを受けながら、スポーツ用品を試すことができるスポーツフロア等を設けております。特に、他の百貨店と違い、ファミリーへ層への訴求を強めたことから、ベビーカーを押されたお客様を多くお見かけ致しまして、ご家族で来て頂くシーンが多くなっております。
 そして現在、最も賑わっておりますのが、12階から14階の「あべのハルカスダイニング」です。百貨店としては、日本最大級3フロアで、営業面積1万1千平方メートル、44店舗、2,800席という大レストラン街です。日本初・関西初・百貨店初の出店となるお店が、数多くございまして、連日、行列ができるなど、特に人気のあるゾーンとなっております。
 また、来春オープンする「ウイング館」では、これまで比較的、近鉄百貨店として、手薄であった若年層の女性、ピュアヤング層を取り込むために、駅ビル型ファッションゾーン「ヤングレディス専門店街」を設けております。さらに、時間消費型エンターテインメントゾーンとして、都会で本格的な農業体験が出来る屋上貸し農園、それから900平方メートルの広々とした空間で、家族一緒に楽しめる屋外型子供広場を設けます。
 これからの百貨店として、単なる物販だけでなく、情報を発信する百貨店として進化したいと考えておりまして、食べて、着て、働いて、遊んで、くつろいで、寝る、といった日々の生活サイクル、あるいは、生まれ、育ち、学び、結婚して子供を育て、リタイヤ後を過ごすという人生のサイクルという様々な局面で、お客様が必要とされる情報の収集をお手伝いすることのできる百貨店を目指したいと考えております。
 続きまして、その上のフロアにある「美術館」について説明致します。16階に位置します。この美術館のコンセプトは、“Art × Human”“あらゆるアートをあらゆる人に”をキャッチフレーズに三本の柱を立てております。多彩な人々が行きかうターミナル立地に相応しい、誰もが気軽に芸術文化を体験し、楽しめる都市型美術館を目指します。また、国宝や重要文化財の展示も可能な本格的な施設として、上質で快適な鑑賞の場を提供します。そして、近鉄沿線の文化財を始め、日本、東洋美術、西洋美術、現代アートまで多彩な展覧会を開催する予定でございます。開館時間についてなのですが、ターミナルの直上にある交通至便な場所となりますので、仕事帰りの人にも楽しんでもらえるように、火曜日から金曜日は、午前10時から午後8時まで開館致します。平日に常時午後8時まで営業するのは、全国でも数少ないと思われます。入場料につきましては、展覧会の内容規模によって変わりますので、展覧会ごとに異なります。開館後の展覧会のラインナップにつきましては、既に6・7本決まっておりまして、近くプレス発表したいと思います。美術館と同じフロア16階には百貨店の屋上を利用した屋上庭園を設けます。緑いっぱいの空間で、一般の方やオフィスワーカーの憩いの場になることと思います。この部分で高さ約100mとなります。
 次に中層階にある、「オフィスフロア」について説明致します。オフィスは17階18階及び、21階から36階までの、全18フロアで構成し、貸し床総面積約4万平方メートルでございます。17階のオフィスロビーは天井高7m、面積1,500平方メートルと非常に明るく開放的な大空間となっておりまして、大阪の南の玄関口に位置するオフィスにふさわしい格調高いエントランス空間にしております。また、オフィスでございますが、1フロア2千4百平方メートルの柱の無い、無柱空間を造っておりまして、非常に
広々としたオフィスを整備し、大阪でも有数規模のオフィスとなっております。LED照明や内部吹き抜け空間を利用し、自然採光、自動調光システムを利用するなど、最先端設備を多数導入して、省エネルギー性を実現しつつ、快適なオフィス、居住性豊かな環境をお届けできるように工夫しております。
 オフィスの特長となる施設をご紹介致しますと、17階はオフィスロビーフロアなのですが、オフィスワーカーのサポート機能を集めております。カフェ、コンビニ等の利便施設のほか、近鉄が初めて直営で取り組んでまいります保育園事業として、「近鉄ほいくえんハルカス」を設けます。オフィスワーカーのお子様をお預かりするというのが命題なのですが、それだけでなく、百貨店やホテル、或いは美術館にご来場されますお客様のお子様の一時預かりサービスも実施致します。
 駅直上の利便性を最大に生かした施設として、また、地域貢献的要素を持つフロアとして考えておりますのが、オフィス21階及び22階に設けます、「メディカルフロア」でございます。21階においては、中核施設として大阪市立大学医学部付属病院の先端予防医療センターを誘致しております。1千8百平方メートルを超える規模で、公立大学法人のテナントビルへの進出としては全国初となります。人間ドックの他、産婦人科と皮膚科、レディスクリニックを展開される予定です。近郊の大阪市立大学病院本院と連携した受診者のフォロー等、立地や大学病院の高度な知見活かした先進の医療サービスを提供される予定です。また、公的病院の側面として、市民相談窓口を設けられまして、地域住民サービスの一翼も担っていかれます。そのほか、ビル利用者、外来者に向けて、日常の医療サービスの提供をお願いするクリニックモールとして、専門医ゾーンを併設致します。専門医ゾーンにおいては眼科、歯科から脳外科まで13科の専門医が相互に連携しながら、幅広い医療ニーズに対応していく予定です。先端予防医療センターと専門医ゾーンを合わせますと、
クリニック全体で4千平方メートルとなりまして、テナントビル内の医療施設としましては、国内最大規模です。
 さらに、メディカルフロアの上なのですが、23階と24階に「キャンパスフロア」を設けます。大学のサテライトキャンパスに進出して頂く予定で、現在、大阪大谷大学、四天王寺大学、大阪芸術大学、及び阪南大学の4大学の進出が決まっており、この他、1~2の大学様がご検討頂いている状況です。教育や研究活動の他、就職活動の拠点としてもご活用いただく予定です。
 大阪では、オフィスの供給過剰傾向が懸念されておりますが、特に、大阪東南部エリアに拠点を置かれたいという企業様、法人様からのニーズを賜り、お陰様で、現在、約8割の入居が内定しています。
 続いて、ホテルについてご説明致します。ホテルは19階、20階、38階から55階、57階に位置します。世界屈指のホテルチェーンでありますマリオットインターナショナルと提携して、関西初のマリオットブランド、高品質な国際的都市型ホテル「大阪マリオット都ホテル」は、世界水準のホスピタリティと日本のおもてなしをご提供してまいります。38階から55階の客室の標準タイプは、約40平方メートルの広さとなっており、この標準タイプ312室を始め、50~160平方メートルのデラックスタイプ・スイートルーム等、計360室を予定しております。全てのお部屋で、バスとトイレがセパレートタイプとなっておりまして、とりわけ、ビューバスを採用し、お風呂に入って頂きながら大阪の眺望を楽しんで頂けるという形になっております。ホテルの最上階となる57階に位置するレストランは周囲に遮るものがない、まさに天空という言葉にふさわしい空間となっております。鉄板焼きコーナー、テーブル席、カウンター席、約200席を用意し、和食、洋食、あるいは鉄板焼きを同時に楽しめる今までにない新しい業態のレストランを開業致します。19階は、ホテルロビーの他、ロビーラウンジとカフェレストランを設けます。ロビーラウンジは約130席あり、昼は喫茶軽食、夜はアルコールも提供するバーラウンジになります。また、カフェレストランはオープンキッチンがあり、調理の音や香りも楽しんで頂けるようにしています。
 そして、最上階に位置する展望台、「ハルカス300」についてご説明致します。展望台は58階59階60階からなる3層構造となっております。最大の魅力である素晴らしい景色を存分に楽しんで頂ける展望台を目指すと共に、58階から60階までの3層にわたる各フロアの特長を生かし、いろんな驚きや癒しを提供して行きたいと考えております。60階の展望回廊ですが、床から天井までがガラス張りで外周の景色に加え、内側に向かっても、景色が広がる開放的な空間で360°ぐるりと回遊できる設計となっております。あたかも、空中を散歩しているかのような感覚が体験できる、まさに驚きの空間となります。北は京都から六甲山系、西は大阪湾から淡路島、明石海峡大橋、東は生駒山系、南は関西国際空港と、今までご覧になったことのない大パノラマをご覧頂くことができます。一方、58階は上部が吹き抜けとなっており、高さ300mの外気を直接感じて頂ける屋外広場となっております。屋外広場には、一面にウッドデッキを貼ると共に、周囲には植栽も配置し、とても地上300mのビルの屋上とは思えない、まさに癒しの空間となります。フロア中央部には、開業当初は混雑して使いにくいと思いますが、イベントステージを設けます。結婚式やパーティ等のイベント、あるいは企業様の新商品発表会や、アーチストのプロモーションイベント等、様々な情報発信にもご利用頂きたいと考えております。また、58階の屋内にはカフェレストランを併設致します。このカフェレストランはドリンクや軽食だけでなく、着席頂いて、お食事やお酒等もお楽しみ頂ける計画を進めております。詳細は現在、検討中です。なお、60階と58階の間、59階は、お帰り用のエレベーター乗り場となっておりまして、お土産やハルカスグッズを販売するお店を設けております。
 一方、「ハルカス300」の入場料金は、大人1,500円、中学生1,200円、小学生700円、幼児500円となります。また、当日券の他、日付と時間を指定出来る、日時指定券も導入する予定で、日時指定券の料金につきましては、通常の料金に一律500円を加算させて頂きます。営業時間は、原則午前10時~午後10時とし、年中無休を予定しております。
お正月には、初日の出を見る時間帯にオープンするなど、いろんな時間外の営業もしていきたいと考えております。
 メディア関係の皆様には、年内には公開させて頂きたいと思っておりますので、またその際には、いろいろなご感想を頂ければと思います。

 

「あべのハルカス」の耐震性能や環境性能について、お話致します。

 

 「あべのハルカス」の耐震性能について、日本一の超高層ビルといえば言うほど、耐震は大丈夫かと、よくメディアの皆様にも聞かれます。耐震性能につきましては、最新の耐震技術と免震技術を組み合わせて、超高層建築としては、阪神大震災クラスはもとより、今後に想定される、上町断層地震、東南海・南海連動大地震に対しても、充分なシミュレーションを行い、最高水準の安全性を確保しております。
 次に環境性能についてですが、「あべのハルカス」では地球規模の命題となっておりますCO2削減にも積極的に取り組んでいます。その特徴として2つありまして、ボイド空間と呼ばれるものと、バイオガス発電でございます。まず、ボイド空間でございますが、これは建物の中央部分に筒の様に設けた吹き抜けのことでございます。ビル内部に吹き抜けを設けることで、自然の光と風を建物内部まで引き込むことができるので、建物内部であっても、自然光で明るい、あるいは、自然通気をさせることで、夏場の夜に冷たい風を入れておいて、朝の空調負荷を抑えるといったような取り組みが出来るようになっております。次に、バイオガス発電ですが、これは、ビル内で発生した生ゴミを利用して発電を行うものでして、ホテルや百貨店のレストランで非常に多くの生ゴミが出てくるのですが、それをバイオガス発電により電気に変えて、それをオフィスの照明に回すといったようなことができる仕組みでございます。超高層ビルに於いては「あべのハルカス」が初めての導入例となります。ほかにも、太陽光発電、風力発電等、ビル内で発生した熱を回収、再利用する設備などを組み合わせまして、通常のビルで発生するCO2の25%を削減出来る仕組みとなっています。

 

さて、ここまで「あべのハルカス」を構成する個々の施設がどのような狙いを持ったものかについて説明してまいりましたが、「あべのハルカス」の戦略の根幹は、この立体都市を活かした様々な機能を有機的にサービスで結ぶという、「事業の連携によるシナジー効果の最大化」というところにあります。百貨店、オフィス、ホテル、どれをとっても当社より上をいく一流の事業者が存在している中で、近鉄グループとしては、なかなか、個々の事業だけで、その一流事業者を上回ることは難しい部分があると、我々のトップがよく申しております。そのような中で、何とか、「あべのハルカス」においては、いろんな事業がまとまって気の効いたサービスを提供することによって、超一流といえないまでも1.5流以上のサービスを提供せよと、常々言っております。
 まだまだ、仕込み中で、アイデアレベルのものもありますが、例えばオフィスフロアに入居する企業様を訪れてこられる国内外のお客様に対して、当然ホテルでは、ホテルでの宿泊サービスを提供していくのですが、それだけでなく、お土産や企業でリクエストされた商品を百貨店から客室まで届けたり、チェックアウト時にお渡しして精算するサービスを提供したり、忙しい出張中のビジネスのお客様には、先ほどご説明しました展望台の早朝時間を解放して、一周200mくらいになるのですが、回廊をジョギングして頂くなどのサービスを提供したいと考えております。あるいは海外からの団体のお客様も想定されるのですが、そういったお客様には百貨店の特別会場を用意して、貸し切り買い物サービスを提供するといったことも考えております。オフィスワーカーに向けても、例えば、専用の館内ネット回線をご利用頂き、それで百貨店のお弁当を注文すれば、配達されるサービスを用意したり、百貨店のその日のイベント内容や商品情報、あるいはホテルのハッピーアワーや宿泊割引が今日ありますよといった情報を効果的にかつタイムリーに提供していけば、単独のビルに入居されているよりは、複合ビルの中にあるオフィスならではのメリットを実感して頂けるのではないかと考えております。百貨店のお客様やホテル宿泊者に対しても、例えば、「美術館」の学芸員による展覧会の解説サービスを行うといったようなことなど、お客様に喜んで頂けるサービス開発をしていきたいと考えています。

 

本計画を推進する以前から、地域との関わりについても動き出しておりまして、
「街づくりと地域との関わり」という観点から、次にお話したいと思います。

 

 阿倍野・天王寺エリアは上町台地に位置する大阪の中でも歴史ある町です。聖徳太子が建立した四天王寺をはじめ、大阪市立美術館、陰陽師ゆかりの安倍清明神社、熊野街道の大寺社として現存する阿部王子神社など、歴史や文化が感じられる名所旧跡が多くあります。また、天王寺公園、天王寺動物園など、緑あふれる施設も数多くありまして、多くの人に知って頂きたい、知らせたい面が数多くあります。一方、近傍のエリアとの連想から、少し汚い、危険なという誤解されたイメージがあるのも実情でございます。また、北が昼間人口の多い“働く”要素が強い街であり、南が“遊ぶ”という要素が強い街であるのに対して、阿倍野天王寺は、古くから、人々が居住して、“暮らす”という要素が強い街といえます。実際、阿倍野区の人口密度は、梅田を含む北区と比較すると、1.6倍となっております。「あべのハルカス近鉄本店」の他、2年前に「あべのキューズタウン」が開業し賑わいが増しておりますが、今もなお、日常の暮らしを支える施設や店舗が多く併存しております。こういった地域にありますことから、我々と致しましても地域との協働、地域の良さをしっかりと多くの人々に伝えるということについて、注力すべきと考えております。  「あべのハルカス」や「キューズモール」の開業により、人々の関心が高まることをチャンスと捉え、地元の方々と共に街づくり活動、エリアPR活動を展開しているところであります。
 街づくり活動としましては、阿倍野区の中心を南北に走る、阿倍野筋があべのハルカス開業の2年後の2015年度に、現状の25mから40mと御堂筋並みの広さに拡幅されます。その整備を機に、安全安心はもとより、賑わいをもたらすストリートとして生まれ変わるよう、この道路の沿道の商店街、町会、企業全てが参画しまして、阿倍野筋魅力づくり協議会を立ち上げ、今年3月に行政にその活用提案を出したところでございます。
 「あべのハルカス」と「キューズモール」に挟まれ、真ん中に大阪で唯一の路面電車が走る道路、これが阿倍野筋でございます。先ほど申し上げました通り、住んでおられる方々が非常に多い中、若者だけでなく、多くのお年寄りが通り、横断する道路となっておりますので、ゆっくりと安心して渡れる道路にしようということで、道路中央部の路面電車わきに歩道帯を整備します。また、海外に開かれた街にもしようということで、道路沿いに関空リムジンバスや、観光団体バスの乗降場、及び、海外旅行者向けインフォメーションセンターを整備することを盛り込んでおります。週末には東京銀座のように歩行者天国にするということも要望しておりまして、パレード等も企画したいと考えております。言いっぱなしではなく、運営は地元で行いますということ、運営を請け負う事を前提としておりますので、行政の方も今、副市長をトップとした検討委員会で真剣に検討して頂いているところでございます。
 エリアPRの取り組みとしましては、阿倍野天王寺エリアの開発に関係する東急不動産、JR西日本さんと私どもの3社を中心に、さらに地域の方々も入って頂きながら、4年前から「Welcomingアベノ・天王寺キャンペーン」を展開しております。この阿倍野・天王寺エリアが持つ、歴史、文化、暮らしに加え、緑豊かな環境といった魅力を内外の方々に広くPRすべく、各種いろんなイベントを実施し、ホームページの開設や、エリアの情報誌を作成し、配布する活動を行っております。天王寺蕪をはじめ、なにわ伝統野菜を食べるイベントや、街を実体験する為のウォーキングイベント、地域の魅力を再発見するための取り組みを行っております。最近は、広域にこの地域の魅力を伝えていく為の街を特徴づけるイベントとして、「アカペラの街 阿倍野・天王寺」と呼ばれるべく、アカペラコンサートを2年前から継続実施しております。今年の5月には四天王寺の境内を使いまして、関西学生アカペライベント「KAJa2013」を開催し、約5,000人もの方に足を運んで頂きました。今後も、阿倍野・天王寺を特徴づけるイベントをいくつも立ち上げていきたいと考えております。

 

では、最後になりましたが、今回のタイトルにあります「新しい情報発信拠点を目指して」についてお話致します。

 

 「あべのハルカス」は、地上300mの超高層ビルとして、日本一の高さを誇ります。横浜のランドマークタワーより4m高いだけなのですが、20年ぶりの記録更新となっています。一方で、世界を見渡しますと、800m級のビルが既に存在し、1,000mを超える建物の建設計画があるといったような状況ですので、「あべのハルカス」が、決して高いなどということではありません。
 ただ、地上300mではありますが、間違いなく日本一でございます。
では、なぜ日本一にこだわったか、という所でございますが、航空制限の規制緩和のチャンスを生かして、4mにこだわっていったことについては、日本一が持つ情報発信力というのがその理由に他なりません。
 昨年8月にビルの高さが300mに到達した時点で、多数のメディアに取り上げて頂きました。その後も、昨年11月の上棟式や今年5月の展望台・美術館の概要発表、6月13日の「あべのハルカス近鉄本店」の先行オープンと、非常に多くのメディアに取り上げて頂き、全国ネットで取り上げて頂いた例も多くあります。「高さ日本一のビル、あべのハルカスでは何何・・・」という紹介が必ずなされており、やはり日本一の超高層ビルだからこそ、メディアに取り上げて頂いているのではないかと確信しております。
 以前、国の行政改革で、「2位じゃダメなんですか」とおっしゃった方がおられましたが、やはり、2位ではダメで、2位ではこれだけの関心は得られないのではないかと思っております。
 情報発信力ということで、もうひとつ、6月に先行オープン致しました「あべのハルカス近鉄本店」を例にとってお話させて頂きます。先にもご紹介しました通り、「あべのハルカス近鉄本店」では、非物販スペースや広場、ベンチ等を数多く設ける事により、滞在時間日本一の百貨店を目指すこととしておりますが、この滞在時間日本一というものは、高さ日本一、売り場面積日本一というハード面での事実とは異なって、いわば我々の目標概念です。にもかかわらず、オープン時にはメディア各社の方に、こぞって滞在時間日本一という切り口で取り上げて頂きまして、3つの日本一というかたちでご紹介頂いた例もあります。ひとえに、「何何で日本一を目指す」と口にするのは簡単なのですが、これも高さ日本一の「あべのハルカス」に入る百貨店だからこそ、皆様の心に、滞在時間日本一ということが、すっと入ってきたのではないかと思います。
 さて、このように日本一高いビルにしたことによる情報発信力について我々が感じていることをお話させて頂きましたが、皆さん広告関係のプロの方々に、あべのハルカスの日本一の情報発信力のさらなる活用方法についてお知恵を頂けないかと考えております。日本一高いビルからの映像の中継、日本一高いビルを使った番組、広告、イベント、例えば、日本一の高さの展望台やさらに、その上のヘリポートで有名歌手のライブ等を行えば、非常に話題になるのではないかと思います。さらに、そのイベント等が日本一の記録に挑戦するものであったり、他にも、日本初のものであれば、その発信力と説得力がさらに増すのではないでしょうか、加えて、情報発信という視点で見た時に、「あべのハルカス」及び阿倍野天王寺エリアにお越しになる方々に対する情報発信という点も見逃せないと思います。
 「あべのハルカス」にはグランドオープン後、1日13万人の方が来館すると予想しておりますが、阿倍野天王寺エリアは1日の乗降が73万人と、非常にポテンシャルの高いエリアでございます。これらのお客様に対して、販促イベントを実施したり、「あべのハルカス」に新たに設置したデジタルサイネージをご利用頂いたりすることで、多くの方への情報発信を行うことができると考えております。
 新たに設置したデジタルサイネージとして、1階の大阪阿倍野橋駅の西コンコースには21面のデジタルサイネージを設置しておりまして、かなりのインパクトがあるものとなっております。地下1階にも20面設置する予定です。また、「あべのハルカス近鉄本店」内にも、2階のウェルカムガレリアに設置した大型マルチディスプレイを始め、多数のデジタルサイネージを設置しております。
 このように「あべのハルカス」は情報発信拠点としても、新たな可能性を秘めているものと考えておりますので、皆様方には是非ともご活用頂きますようお願い申し上げます。

 

以上、「あべのハルカス新しい情報発信拠点を目指して」と題しまして、お話させて頂きました、来春のグランドオープンにつきましては、9月か10月頃に、オープン日を発表する予定です。グランドオープンの暁には、大阪の新しい名所としてさらに多くのお客様にお越し頂きたいと願っております。ぜひ、引き続きいろんな折に、「あべのハルカス」をご紹介頂ければ有難いと存じます。来春には、あべのハルカスの名称の由来であります“晴るかす”という言葉通り、阿倍野・天王寺エリアそして、大阪の未来を晴れ晴れとさせることが出来れば、我々近鉄と致しまして誠に幸甚でございます旨を皆様にお伝えして、私の話を終わらせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。

以上

2013年9月9日

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